Dr.中川 がんサバイバーの知恵

がん治療と仕事の両立…厚労省プロジェクトへの参加で社長の意識改革を

多くの人が治療と仕事の両立に不安を抱えている(C)日刊ゲンダイ

「高齢者白書」(内閣府.2022年)で就業意欲についての回答は、「働けるうちはいつまでも」「70歳くらいまで」またはそれ以上を合わせると約9割です。毎年100万人ががんを発症するうち、65歳以下は3割ほどですが、今後働く人ががんになる可能性はより高まっているのです。

 そんな中、職域に特化したがん対策についてフォローしているのが、厚労省の国家プロジェクトである「がん対策推進企業アクション」です。私もそのアドバイザリーボードのメンバーのひとりで手前みそですが、がん治療と仕事の両立に会社が協力的でないと思う人は、社長に企業アクションへの参加を要望するとよいと思います。

 国家プロジェクトですから、費用はかかりません。すべてのプログラムが無料で利用できます。たとえば、小冊子「働く人ががんを知る本」が社員の人数分、会社に届き、全社員ががんについての知識を深めることができます。毎月2回程度送られるメールマガジンでは、セミナーの案内やがん対策の最新情報を網羅。ほかにもさまざまな啓発ツールを無料で提供してもらうことができます。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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