医療だけでは幸せになれない

インフルとコロナ感染拡大…学校関係者はマスクに関する科学的研究成果を知るべきだ

コホート研究では学校での着用は「効果あり」(C)PIXTA

 コロナ感染が拡大し始めた当初、専門家に何の相談もなく、小中学校の一斉休校が決められたように、政治家の直感で物事が進んでいく状況は好ましくない。学校におけるマスクの問題も、政治家や学校関係者の直感で決まっているのだろうか。そのあたりについて次回から取り上げていきたい。

注1)コホート研究:ランダム化比較試験と異なり、治療などの、人為的、能動的介入を行わず、ただその場で起きていることや起きたこと、あるいはこれから起きることを観察する観察研究手法のひとつ。一定の集団(この集団をコホートと呼ぶ)を設定し、調査時点で、仮説として考えられる要因を持つ集団(曝露群)と持たない集団(非曝露群)を追跡して、両群の病気のかかる割合または死亡率などを比較する。

注2)相対危険:危険因子にさらされた場合、それにさらされなかった場合に比べて何倍病気にかかりやすいかを示す指標。危険因子にさらされた群の病気のかかりやすさのリスクの、危険因子にさらされていない群の病気のかかりやすさの比で表される。

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

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