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「介護する家族に報酬を」という考え方…高齢化に悩むアメリカの問題解決になるか?

高齢の親の介護はアメリカでも切実な問題(C)iStock

 しかし94%の介護者は、何の報酬も受け取っていません。場合によっては自分の仕事や生活を犠牲にして、親の介護をしなければならない。これを変えようという動きが少しずつ始まっています。

 例えば、介護が必要な親が低所得者の場合、低所得者向け保険(メディケイド)が適応されれば、家族の1人を「介護者」として指定できます。介護者はその労働の対価を受け取ることができます。制度の内容や金額は州によって異なりますが、現在アメリカ50州全てで実施されています。

 また高齢者保険(メディケア)にも改革の動きがあります。特に認知症を患う高齢者ケアと、介護者への教育と支援、一時的な介護代行などを統合するプログラムが計画されています。

 こうした動きはまだまだ限定的なものですが、少しでも介護者の負担を減らすための方策を、多くのアメリカ人は待ち望んでいます。

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シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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