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「介護する家族に報酬を」という考え方…高齢化に悩むアメリカの問題解決になるか?

高齢の親の介護はアメリカでも切実な問題(C)iStock

 高齢の親の介護をどうするべきか、日本と同じように急激に高齢化するアメリカでも切実な問題です。そこで浮上してきたのは、介護する家族にも報酬を与えようという考え方です。

 アメリカ人の介護への考え方はわりとはっきりしています。子供が無理して親の介護をするよりも、老人ホームなどでプロの手を借りた方がいい、というのは親子で共通しています。

 しかし問題は、経済的にそれができない場合です。アメリカには公的な老人医療保険(メディケア)はありますが、日本のような介護保険制度はありません。介護施設はある程度の富裕層向けと、低所得者向けのものに限られ、中間層が入るのは困難です。

 また在宅ケアの場合、日本のように手ごろな値段でヘルパーさんを頼むのは難しく、そうなるとやはり家族が中心となって介護せざるを得ないことになります。

 50歳以上のアメリカ人の54%が、65歳以上の家族の世話をしています。この労働を金額に換算すると6000億ドルというものすごい数字になります。

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シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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