「専門医」と「一般医」は何が違う? 医療機関の看板だけではわからない

「しんクリニック」の辛浩基院長(提供写真)

「糖尿病におけるクリニカルイナーシャは血糖コントロールが困難な状態を長引かせ、結果的に合併症のリスクを上昇させることで、平均寿命を短くするとされています」 実際、カナダで行われた研究ではHb(ヘモグロビン)A1c値が8%以上である65歳以上の患者において、プライマリーケア医(一般内科医)の診察を受けた1911人のうち治療が強化されたのは37.4%に過ぎなかったのに対して、専門医の診察を受けた591人のうち治療が強化されたのは45.1%だったとの報告もある。

 これは、HbA1cが上昇した際、専門医の方がインスリンをより多くの患者に投与し始めたことによる。つまりは、一般内科医は専門医より治療強化をためらいやすいということであり、クリニカルイナーシャの影響を受けやすいということかもしれない。

「昔に比べて薬の種類が増えて、劇的に効く薬も登場しているいま、積極的に病気と向き合いたいという患者さんは専門領域の医療情報に通じた専門医にかかることのメリットは大きいかもしれません」

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