がんと向き合い生きていく

「キノコががんに効く」は過去の歴史…かつて研究した友人の結論

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 翌朝、「庭のキノコは?」と聞くと、「今年は夏に雑草がぼうぼうと生えてしまって、私と妻が旅行中に庭をきれいにして欲しいと、庭師さんにお願いしたのが失敗でした」と言うのです。

「帰ってみると、庭はさっぱりときれいになっていました。草刈りの機械を使ったと思うのだけれど、すっかり更地になってしまって、なかなか雑草もキノコも出てこないのです」

 友人の奥さんは「草取り」が好きなのに、それもできなくなったのだそうです。

 数年前は、庭一面にコスモスが咲き誇って揺れていました。今年も私より背丈が高いのがたくさん咲いているだろうと期待したのですが、玄関先にピンク色の小さい花が2、3本あるだけで、むしろ寂しく感じました。

 たしか、奥には太いウドの木もあったと思ったのですが、それもなくなっています。草がない、キノコは生えない、ただ黒茶色の土が見えているだけでした。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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