がんと向き合い生きていく

「治った~」という掛け声とともに患者たちとの体操が始まった

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 私と同級だったO君は、大学に入学して間もなく休学しました。当時、三浦綾子さんの「氷点」が1000万円懸賞小説に入選し、映画にもなるなど大きな話題となっていて、O君の休学は懸賞小説を書くためではないかというウワサもありました。

 結局、本当の休学理由は分かりませんでしたが、その休学の結果、彼は2学年分の同級生に恵まれたのでした。卒業後、われわれの同級会から声がかかる、1回下の同級会にも出席できる。つまり、休学で彼は親しい友人をたくさん得られたはずです。

 O君は外科系を専門とし、ある病院に18年間勤務しました。その間、新しい撮影装置を開発し、その結果を外国の学会で何回も発表し、学会から表彰されたそうです。その後、出身地のY市でO医院を開業しました。MRIやヘリカルCTを導入して4~5次元からの画像診断を行い、手術や入院が必要な場合は直ちに近くの病院に紹介し、緊急手術等の治療ができたと聞きました。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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