冬に旬を迎え、特に大晦日やお正月などの特別な行事で食されることも多いフグ。その歴史は古く、日本での記録は万葉集にもその記載があるほどです。フグが一般に食されるようになったのは、江戸時代後期から明治時代にかけてです。
特に江戸時代後期、隅田川や江戸湾の漁獲が盛んになり、フグの供給量が増えました。このころから、「ふぐ師」と呼ばれるフグを調理する専門家が登場し、フグを安全に食べられるようにするための技術や知識が急速に広まってきたそうです。
フグはその毒性から、「鉄砲(テツ)」という言葉で隠語化され、フグ料理の刺し身、水炊き、湯引きにも「てっさ」「てっちり」「てっぴ」などという言葉があてられます。フグの産地の下関では、高級魚=福とかけて「ふく」と呼ぶこともありますが、毒に当たることを連想させるガンバ(棺桶を意味する)、ジュッテントン(十転倒から派生)、キタマクラ(縁起が悪い北枕)という地域もあるそうです。フグの危険性や特性を伝えるための食文化、大変興味深いですね。
時間栄養学と旬の食材