複雑な家庭環境や遺産相続に関する問題について、患者さんのご家族からお電話をいただくことも。私はこのような時は努めて、ご本人の気持ちの整理がつくまで傾聴し、診療所としてできることをお伝えするようにしています。
「今日は反応が悪く、体の動きが悪いです……。ストローで水分を取っているんですが、今日は吸えなくて。お返事がなく、言葉が発せられない! 一晩で様子がごろっと変わりました! おむつ交換の時、声をかけると顔はそっちに向いても体が動かないんです」
この時は患者さんのお手伝いさんからのもの。違和感があり怖いからとのご相談の連絡でしたが、このお手伝いさんの違和感は間違いありませんでした。
すぐに私たちがご自宅に向かうと、お手伝いさんが言うように、いつもと様子の違う患者さんがベッドに横たわっていました。診断の結果、脳梗塞の疑いで救急搬送され、病院の集中治療室で治療を受けることになったのでした。
老親・家族 在宅での看取り方