老親・家族 在宅での看取り方

体調、薬、家庭環境まで…在宅医療の診療所ではさまざまな電話相談に対応

電話相談は大切な心のライフライン

「目を離したすきに、母が自分で痛み止めの麻薬を一気に4つも飲んでしまったみたいなんです。なにか気をつけたほうがいいことはありますか? いま本人は特にいつもと変わりないのですが……」

 24時間診療に対応している私たちの診療所ではさまざまな電話相談が寄せられます。

 電話相談の内容は、医師やスタッフに来てもらうまでもないが、でも患者さんやご家族にとってはとても気になること、どうしても確認しておきたい体調や薬について、さらには家庭環境など多岐にわたっています。患者さんやそのご家族にとっては、私たちから直接対応法などを聞けて、安心できるもの。それは在宅医療が患者さんの病気にだけ向き合っているのではなく、患者さんの自宅での療養生活そのものの面倒を見るからだと考えています。いわば、患者さん側と診療所側をつなぐ、大切な心のライフラインなのです。

「今まで全然介護に関わってこなかった姉たちが急に家に引き取るとか言って、母と私を引きはがそうとするんです。私の家なのにいろいろ情報を探そうと、郵便物とかをあさって本当に怖いんです。お医者さんから会わないように言っていただけませんか!」

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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