老親・家族 在宅での看取り方

夫の最期を共に過ごすために妻は「介護休業」を活用した

残された時間を一緒に過ごすために介護休暇の取得も…

 その方は前立腺がんを患い、リンパ節や骨転移もされている還暦前の患者さんでした。

 すでに終末期と言われていましたが、本人は職場には何も知らせずに普通に仕事をしていたとのこと。ある日、呼吸困難を起こして病院へ救急搬送、入院となりました。そこで緩和ケアについて説明を受けたものの、点滴でつながれて病院で過ごすことに抵抗を感じ、最期まで家で過ごすつもりで在宅医療を選択されたのでした。

 在宅医療には奥さまも協力的で、2人の娘さんもひとりは遠方に住んでいますが、もうひとりはテレワークのため日中は家にいて終業後に介護されています。

「ご本人の前では言いづらいですが、情報を見るだけでも、この1カ月もつかどうかというところだと思います。それまで症状緩和で輸血や点滴をするのか、本人のご意向通り何もやらないのか、どうしたいというご希望はありますか」(私)

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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