Dr.中川 がんサバイバーの知恵

膵臓がん公表の森永卓郎さんが仕事継続をアピールした重要性

ステージ4の膵臓がんであることを公表した森永卓郎さん(C)日刊ゲンダイ

 自分のためにも、家族のためにも、がん患者は仕事を続けることが肝心で、森永さんが仕事の継続を強くアピールされたことの重要さが分かったと思います。仕事の継続は、生活費や治療費を工面する経済的な側面だけでなく、生きがいにも結びつくのです。

 抗がん剤も放射線も、通院で受けられることが多く、胃がんや大腸がんなど多くのがんで早期なら入院期間も1週間ほどで済みます。私の膀胱がんの手術での入院期間は4日でした。そういうことを頭に入れておけば、治療と仕事の両立が決して難しくないことも分かるでしょう。がん患者にとって、仕事と治療はどちらかひとつの選択ではなく、両方とも続けていく生活の工夫が求められるのです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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