心房の壁が薄くなる心拡大とは異なり、心室の壁が厚くなる心肥大は、その原因になっている疾患を治療することで心臓が本来の働きを取り戻し、血液がスムーズに循環するようになれば、徐々に元の大きさに戻るケースが少なくありません。
■心臓が3倍の大きさになるケースも
高齢者の再手術では、「心房」が大きくなる心拡大が起こっているケースが多くあります。もともと、心臓手術を受けた後は心房細動が起こりやすくなることがわかっています。とくに心臓にメスを入れる手術で切開部位を手荒に縫合しているとそこがヤケドの痕のような状態になり、不整脈の原因になるとみられています。また、初回手術で弁の逆流や血流障害が残るような不十分な処置だと、不整脈や心不全症状が残ってしまう場合があります。
そういった要因から心房が徐々に大きくなり、再手術が必要になったときは、極端に心拡大が進んでいる患者さんもいます。中には、心臓が通常の3倍くらいまで大きくなっているケースもあるのです。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」