お酒でトラブルの経験があるなら「減酒外来」を受診したい

近年「減酒外来」が注目されている

■薬で飲酒量を抑えられる

 これまで、アルコール依存症の治療には「抗酒剤」が用いられていた。服用中にお酒を飲むとひどい吐き気や嘔吐、頭痛が生じるので、断酒を決意させる効果がある。しかしその一方、不快感を避けるために抗酒剤の服用を中断する人が少なくなかったという。2019年3月、減酒治療の治療薬として発売された「セリンクロ(一般名:ナルメフェン)」は、お酒を飲む1時間前に1~2錠服用すると、飲酒欲求が抑えられ少量で満足感が得られる上に、抗酒薬のような不快感もない。

「ある50代の患者さんは、日本酒を毎日欠かさず5合飲む習慣があり、健康診断で肝機能を測るγ-GTP(基準値50)の数値が300と指摘されたものの、毎日の楽しみを失いたくないと減酒外来を受診しました。最初は週1日の休肝日から始め、2週間後の外来で数値が改善したのを見て自信がついたのか、休肝日を週2日、3日と徐々に増やして最終的には断酒に至り、γ-GTPも基準値まで低下しました」

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