上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

「難聴」は動脈硬化性の心臓病とも深く関係している

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 音が聞こえにくくなる「難聴」は、高齢になると多く見られる耳の障害ですが、じつは心臓病とも深く関係しています。

 富山大学の研究では、狭心症や心筋梗塞といった心臓血管疾患の既往のある高齢者は、難聴のリスクが約2倍に増加すると報告されています。

 われわれの耳は、外耳、中耳、内耳に分かれていて、音は外耳から入って鼓膜を振動させ、耳小骨で増幅されて内耳に伝えられます。続いて内耳の蝸牛にある有毛細胞で感知された後、聴神経から大脳に伝達されて処理され、音として認識されます。

 難聴はこれらの経路のどこかに障害が起こって生じる症状で、外耳から中耳までの経路に障害があるものを「伝音難聴」、内耳から聴覚中枢に至るまでの経路に障害があるものを「感音難聴」、両方が混在したものを「混合難聴」と呼びます。年をとって耳が遠くなる加齢性難聴、近年増加している突発性難聴やヘッドホン難聴は、感音難聴に該当します。

1 / 5 ページ

天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

関連記事