このように難聴リスクを上げる糖尿病、高血圧、脂質異常症といった生活習慣病は、動脈硬化を促進させるため、冠動脈心疾患の代表的なリスク因子でもあります。つまり、難聴と心臓病はリスク因子が重なっているのです。
また、難聴には全身の慢性炎症が関係しているのではないか、という見方があります。慢性炎症があると内耳にも炎症が波及し、だんだんと感音難聴が進行していくと考えられています。この慢性炎症は心臓病とも深く関わっていて、体内に慢性炎症があるとインターロイキン-6(IL-6)やTNF-αといった炎症性サイトカインが過剰に放出され、動脈硬化が進んで心臓病のリスクを上げることが知られています。ここでも、難聴と心臓病のリスク因子が重複しているのです。
先ほど触れたスタチンは、体内でのコレステロール合成を抑制するという主作用に加え、抗炎症の作用も持っています。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」