第一人者が教える 認知症のすべて

レビー小体型認知症は最初に幻視・妄想やパーキンソン症状が現れる

物忘れ症状は少ない

「半年ほど前、78歳の夫がレビー小体型認知症と診断されました」

 こう話す女性は、夫婦2人暮らし。娘が電車で15分ほどの距離に住んでいるものの、子育て中ということもあり極力頼らず介護に当たっているそうで、「アルツハイマー型認知症はなんとなく症状が想像つきますが、レビー小体型認知症は、名前を聞いてもピンと来ませんでした。解説している本をいっぱい読みました」(女性)。

 レビー小体型認知症は、アルツハイマー型認知症、血管性認知症に次いで多い認知症です。

 αシヌクレインというタンパク質を核とする物質(レビー小体)が大脳皮質にたまり、脳の神経細胞が死滅していくことで症状が現れます。はっきりした脳の萎縮は見られないことが多い。

 一方、アルツハイマー型認知症はアミロイドβの蓄積から始まり、海馬を中心に脳の萎縮が見られます。血管性認知症は脳梗塞や脳出血が原因で脳の血液循環が悪くなり、脳の一部が壊死する。レビー小体型認知症とは、脳の変化の様子が異なります。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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