たとえば、ビタミンB12の欠乏は手足のピリピリ感や感覚消失などの神経症状と共に白髪が認められるが、治療薬によるHRが複数報告されている。
また、パーキンソン病の74歳男性は、メラニン色素合成にも関係する治療薬の投与で総白髪がごま塩にまで回復した。がんの免疫チェックポイント阻害剤や抗がん剤によるHR報告も複数ある。
「HRの仕組みは複雑なため、特定薬剤だけが寄与したとは言えません。ただ、現時点でHRの薬剤作用機序は2つ考えられます。ひとつはヘアサイクルの回復に伴い毛髪色素細胞のサイクルも復活したケースです。抗がん剤治療後のHRがその例です。抗がん剤は副作用で脱毛することが多い。治療後ヘアサイクルが正常に戻る際に、メラニン合成サイクルも刺激され、活性化する可能性があります」
もうひとつは色素細胞に直接作用してメラニン合成系を高めるケース。パーキンソン病治療での症例がそれにあたる。