白髪を科学する(4)病気の治療薬で「毛髪の再着色化」が報告されている

回復条件は複雑

「白髪の大半は色素細胞がないとされますが、そうでない人がいて、薬剤の刺激によりメラニン合成が再開してHRとなるとも考えられます。皮膚の色素細胞が毛包に遊走し、脱分化して幹細胞として定着する可能性もあります。いまはHRが臨床上重要視されず、報告事例は少数。しかも白髪の回復条件は非常に複雑です。それらが改善され、研究が続けば、いずれ白髪治療は可能になると思います」 (おわり)

▽出田立郎(いでた・りつろう)資生堂美容技術専門学校非常勤講師、日本臨床毛髪学会監事、日本色素細胞学会評議員、日本毛髪科学協会役員。東京大学大学院卒(理学博士)。1988年資生堂入社。リサーチセンター(研究所)で主に薄毛、白髪についての研究開発に携わる。2019年同社を退社。現在に至る。

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