感染症別 正しいクスリの使い方

【手洗い】ガイドラインがすべてではない…必要に応じた感染対策が重要

流水での手洗いも大切

 CDCのガイドラインの考え方では、当時、多くの病院で行われていた消毒剤による床掃除に対し、「あなたは1日何回床を触りましたか? 触ってないでしょう?」といった考えのもと、消毒剤による床掃除は不要としていました。しかし、床を触ることがありえる環境ならば、それに応じた感染対策を考えるのも当然でしょう。初めて「ガイドラインがすべてじゃない。必要に応じて臨機応変に対応しなければならないんだ」と学びました。その後、その先生方は、「一般社団法人精神科領域の感染制御を考える会」を立ち上げられています。

 今後も私たちのまわりには多くの感染症が存在し続けるでしょう。必ず治る感染症ばかりではないでしょうが、それぞれに応じた正しい薬の使い方を、これからもわれわれ薬剤師は伝えていきたいと思っています。 (おわり)

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荒川隆之

荒川隆之

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

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