50代の男性医師、Cさんのお話です。
ある朝、起床してから、母親に贈るための“母の日カード”にメッセージを書こうとしました。しかし、「母の日おめでとうございます」と書くつもりが、文字がまったく浮かんできません。「母」の単語が出てこないのです。さらに、ろれつが回りません。ただ、手足は動いたので、妻に手ぶりで言葉が出ないことを知らせ、大学病院の救急センターに連れて行ってほしいと伝えました。
救急センターでは、麻痺はなく歩くことはできましたが、話すことができません。緊急MRI検査が行われ、「急性期脳梗塞」と診断されてSCU(脳卒中集中治療室)に入院となりました。
脳梗塞は、脳の血管が詰まって血流が途絶える病気です。幸い、Cさんの急性期治療は、カテーテルを使って血栓を取り除く脳血管内手術という侵襲的な治療は必要なく、血栓を溶かす薬の点滴と内服治療だけで治療ができるという方針になりました。
正解のリハビリ、最善の介護