吐血で亡くなるケースも…胃潰瘍は決して軽い病気ではない

甘く見たらダメ/(C)日刊ゲンダイ

 胃がきりきりと痛くて検査を受けてみたら胃潰瘍だった。「なあんだ、ただの胃潰瘍か」などと甘く見ていると大ごとになりかねない。
 胃潰瘍は日本人の10人に1人がかかるといわれるほどありふれた病気だ。サラリーマンなら、自分や同僚が胃潰瘍になったことがあるという人も多いだろう。
 胃壁を保護している粘液などの<防御因子>と、食べ物を消化する胃酸などの<攻撃因子>のバランスが崩れ、胃酸によって胃の粘膜が深くえぐれてしまい、痛みや不快感、吐血や血便といった症状が表れる。

 日本消化器病学会専門医の江田証氏(江田クリニック院長)は言う。
「胃潰瘍を甘く見てはいけません。かつては多くの人が命を落としてきた病気で、いまでも自宅で血を吐いたまま死んでいたといったケースもあります。胃壁が深く傷つけられて太い血管が切れてしまうと、大量の血が噴水のように噴き出し、出血性ショックによって昏倒してそのまま死亡してしまうのです。高齢者になると痛みを感じにくくなるため、症状がそれほど出ていないのにいきなり大量の血を吐くケースがあるので注意が必要です。吐血して病院に運ばれたときにはすでに亡くなっていた患者さんもいました」

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