20年ぶり新薬登場で注目の「胃食道逆流症」3つの注意点

“胸焼け”は治るのだ(C)日刊ゲンダイ

 これまでは、胃酸分泌を抑制するプロトンポンプ阻害剤(PPI)という治療薬が使われていたが、弱点もあった。

「逆流性食道炎のうち、軽症例ではほぼ9割に効きます。しかし、重症例では、胃酸の逆流量が多く、既存薬では効果は不十分でした。ボノプラザンは従来のPPIとは異なる作用機序を持っていて、より強力に胃酸分泌を抑えられるのです」

 試験では、重症例でも4週間の服用で94%、8週間で96%に治癒が得られるという好成績だった。長期服用による副作用も懸念され、慎重に使わなければならないが、画期的な薬であることは間違いない。

 問題は、今回の新薬の対象外である「逆流性食道炎ではない胃食道逆流症」、つまり「非びらん性胃食道逆流症」だ。

「これらの患者さんは、胃酸の逆流だけが原因とは限りません。胃酸以外の逆流、ストレス、食道の粘膜の過敏性など、原因が複合的に絡まり合っていることが考えられるため、胃酸の分泌を抑制するだけでは症状を抑えられず、“PPIが効かない”人は、むしろ逆流性食道炎よりも多いのです」

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