天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

ペースメーカーのリード断裂は珍しいトラブルではない


 洞不全症候群という不整脈のため、15年前にペースメーカーを埋め込みました。その後、電池の消耗などで何度か交換し、今年3月には4回目の入れ替えを行いました。その際、担当医から「2本あるリード(導線)のうちの1本が切れかかっている」と指摘され、2個目のペースメーカー埋め込みが検討されています。やはり再手術を受けなければならないのでしょうか。(86歳・女性)


 ペースメーカーは、脈が遅くなったときに作動して心筋に電気刺激を送り、心臓が正常に収縮するようにサポートする装置です。洞不全症候群など慢性的に脈が遅くなる徐脈の患者さんに対し、内科医によって埋め込み手術が行われます。
 電子回路とリチウム電池が収まった本体、電気信号を伝えるリードによって構成され、リードは鎖骨下の静脈から挿入して心房や心室に留置し、本体は鎖骨の下あたりに埋め込みます。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。