しかし、その手術も多くの工夫が必要で、難易度もアップします。透析患者は人工心肺を使っている時間、手術にかかる時間が長くなればなるほど死亡率が上がってしまいます。できるだけ、人工心肺を使って心臓を止めている時間、手術全体の時間を短くしなければなりません。「命=時間」の典型的な患者さんなのです。
そんな透析患者さんにとって、光明になるのが「スーチャーレス弁」による弁置換術です。現在、日本ではまだ認可されていませんが、今年の秋ぐらいにはスーチャーレス弁を使えるようになるとみられています。
スーチャーレス弁というのは、牛などの心膜を人間に使えるように処理した生体弁に金属製のバネを取り付けたもので、バネの力を利用して心臓の弁がある箇所にはめ込みます。「スーチャーレス」=「縫合なし」で留置できるため、処置にかかる時間は25分程度で済むといわれています。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」