同時に生活習慣の回復具合をチェックすることも欠かせません。しっかり睡眠はとれているか。食欲は戻っているか。ちゃんと排泄できるようになっているか……。そうした生活習慣がしっかり戻っていなければ、負荷を増やしていくことはできません。担当医師によってペースは変わりますが、こうした手順を最後まできちんと守れた患者さんが、術後に「危なっかしいな」と感じていた自分と決別できるのです。
リハビリ中は、血圧にしっかり気を配っておくことも重要です。手術後は、生理的な貧血状態になっている患者さんがほとんどです。切開した箇所が回復する過程では、血圧が低めにコントロールされているからです。
そのため、回復が進み、食事できるようになりました、息切れもなくなりました、動けるようになりました……となった段階で一気に血圧がバーンと上がるケースがあります。それをきっかけに脳出血や大動脈解離を起こす患者さんもいます。非常にまれではありますが、命に関わることもあるので注意してください。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」