しなやかな血管が命を守る

【脳梗塞の発症予防】 頚動脈硬化の治療は薬より手術

東邦大学佐倉病院の東丸教授(C)日刊ゲンダイ

 外科的治療として代表的なものは頚動脈を露出し、狭窄の原因となっている動脈硬化の塊(粥腫)を除去する「頚動脈内膜剥離術」(CEA)です。

 麻酔をして頚部の皮膚を数センチ切開し、頚動脈を露出します。動脈を切開して、内シャント(頚動脈と末梢の内頚動脈をチューブでつなぐことにより、動脈血を脳に流す方法)などを作り脳の血流を維持、狭い部分の内膜や血栓をきれいに剥離摘出します。症状がない場合は脳梗塞などの合併症リスクはおおよそ3%以下ですが、症状があったり脳梗塞既往や他の心血管系の病気があったりするときは、数%に上ることもあります。

 血管内治療法は「頚動脈ステント留置術」(CAS)が主体で、足の付け根の動脈からゴム風船(バルーン)付きのカテーテルを挿入して、狭窄部を広げます。そしてステントと呼ばれる網目状金属の筒を留置して狭窄部を拡張させる治療法です。

3 / 4 ページ

東丸貴信

東丸貴信

東京大学医学部卒。東邦大学医療センター佐倉病院臨床生理・循環器センター教授、日赤医療センター循環器科部長などを歴任。血管内治療学会理事、心臓血管内視鏡学会理事、成人病学会理事、脈管学会評議員、世界心臓病会議部会長。日本循環器学会認定専門医、日本内科学会認定・指導医、日本脈管学会専門医、心臓血管内視鏡学会専門医。