しなやかな血管が命を守る

【脳梗塞の発症予防】 頚動脈硬化の治療は薬より手術

東邦大学佐倉病院の東丸教授(C)日刊ゲンダイ

 まずは、頚動脈硬化の内科的治療(薬物治療)です。生活習慣病の中でも特に高血圧症や脂質異常症をお持ちの方は、その管理や治療にまじめに取り組むことが大切です。脂質を下げるスタチンという薬で、脳動脈硬化を改善し、降圧療法や脂質を下げることで、脳梗塞の発症が2~3割程度減少したというデータもあるのです。

 治療には血栓を予防する抗血栓薬を服用します。具体的にはアスピリン、チクロピジン(パナルジン)、シロスタゾール(プレタール)、クロピドグレル(プラビックス)などいわゆる“血小板が固まるのを防ぎ血液をさらさらにする抗血小板薬”です。これらの薬は、脳梗塞の発症予防に一定の効果があることが証明されています。アスピリンを主とした研究では、脳梗塞の再発予防として1~3割くらいの効果が報告されています。

 しかし、高度の頚動脈狭窄症では内科的治療だけでは不十分です。脳の血流不足によるTIAなどの症状がある場合は血管の内径が50%以上、無症状でも60%以上の狭窄があれば、外科的治療か血管内治療が検討されます。血管が80%以上詰まっていれば、治療は待ったなしです。

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東丸貴信

東丸貴信

東京大学医学部卒。東邦大学医療センター佐倉病院臨床生理・循環器センター教授、日赤医療センター循環器科部長などを歴任。血管内治療学会理事、心臓血管内視鏡学会理事、成人病学会理事、脈管学会評議員、世界心臓病会議部会長。日本循環器学会認定専門医、日本内科学会認定・指導医、日本脈管学会専門医、心臓血管内視鏡学会専門医。