Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【菅原文太さんのケース】医師は膀胱全摘を提案。でも、温存できた

菅原文太(C)日刊ゲンダイ

 文太さんが受けた治療法は、脚の動脈から患部に直接、抗がん剤を注入する動注化学療法を3クール。一般の放射線照射が23回。最後の仕上げの陽子線照射が11回。3カ月の入院で行って、膀胱を温存し、晩年まで元気にいられる体に回復したのです。これまで抗がん剤は使うべきではないと書いてきましたが、使い方とタイミングを考えれば十分効果があります。

 陽子線は高額な治療法ですが、現在は一般の放射線でも精度が上がっています。皆さん、膀胱は温存できる可能性があって、治療法は選択できるということを肝に銘じてください。それが、今は亡き文太さんのメッセージです。

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中川恵一

1960年生まれ。東大医学部医学科卒業。同院緩和ケア診療部長を兼務。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。