医療用語基礎知識

【肝炎ウイルス検査】定期健診だけでは確実なことは言えない

 肝炎が慢性化すると、肝臓がじわじわと侵され、20~30年以上かけて、肝硬変や肝がんに移行していきます。日本人の肝がんの、実に8割がC型によるもの、残り2割の大半がB型によるものといわれているほどです。幸いなことに、B型はワクチンで感染を防ぐことができます。そのため医療関係者などは、必ずB型ワクチンを打っています。しかしC型に有効なワクチンは、まだできていません。

 それでもインターフェロンをはじめ、有力な治療法が開発されたおかげで、早めに治療を開始すれば、肝硬変や肝がんをかなりの程度防げるようになってきました。肝炎ウイルスの早期発見の重要性が増してきているわけです。

 肝炎ウイルス検査は定期健診の項目に入っており、希望者に対して行われます。B型、C型ウイルスに対する抗体の有無を血液検査で調べます。

 ただ、その結果だけでは慢性肝炎を発症しているかどうかまでは分かりません。

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やなぎひさし

やなぎひさし

国立大学理工学部卒。医療機器メーカーの勤務を経てフリーへ。医療コンサルタントとして、主に医療IT企業のマーケティング支援を行っている。中国の医療事情に詳しい。