医療用語基礎知識

【心電図】病気のサインを見逃すことも

 医療ドラマに欠かせない心電計。瀕死の患者の枕元で「ピッ! ピッ!」と鳴っていたのが、突然「ピーーー」と連続音に変わった瞬間が、心臓停止の合図。しかし単に心臓が動いているかどうかなら、もっと単純な心拍計で十分です。心臓の病気や状態が、より詳しく分かるからこそ、心電計が登場するのです。

 心電図検査は、定期健診の必須項目として義務付けられています。真面目に健診を受けている人なら、毎年必ず1回は心電計のお世話になっています。

 心臓が鼓動を繰り返すとき、ごく弱い電流が発生することが知られています。電流は心臓の内側の一点から発生し、すぐに心臓全体に広まっていきます。その刺激を受けて心臓全体の拍動が起こり、血液を送り出すポンプとして機能しているのです。この微弱電流は皮膚の表面にも漏れ出してくるため、電極を使って検出することができます。それを波形として記録したものが心電図というわけです。

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やなぎひさし

やなぎひさし

国立大学理工学部卒。医療機器メーカーの勤務を経てフリーへ。医療コンサルタントとして、主に医療IT企業のマーケティング支援を行っている。中国の医療事情に詳しい。