Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【北斗晶さんのケース(1)】マンモが見落とす進行速いタイプが2割

セルフチェックとパートナーの触診が大事(C)日刊ゲンダイ

 乳がんは、乳房を温存できるような進行が遅い穏やかなタイプがある一方、進行が速く悪性度の高いタイプもあります。北斗さんは年明けに最初の症状を自覚していますから、秋の検査からおよそ3~4カ月でがんができていたようです。

 ですから、マンモグラフィーが陰性でも、日ごろからのセルフチェックが欠かせません。「検査したから大丈夫」という安心感を持ち過ぎるのも危険です。穏やかなタイプと悪性度が高く進行が速いタイプの頻度はおよそ4対1。およそ2割の進み方が速いタイプを想定して、セルフチェックをしておくことが大切です。

 それが、自分による触診と視診。もちろん、これも万全ではありませんが、パートナーによる触診がキッカケで発見されるケースも少なからずあります。マンモグラフィーを過信せず、ぜひセルフチェックも心掛けてください。

中川恵一・東大医学部付属病院放射線科准教授

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。