薬に頼らないこころの健康法Q&A

医師面接は従業員の会社批判を聞く場ではない

井原裕 独協医科大学越谷病院こころの診療科教授(C)日刊ゲンダイ


 現在、工場を経営していて、従業員を70人程度抱えています。経営者としては労働安全衛生法の改正により今年12月からスタートする「ストレスチェック制度」は警戒せざるを得ません。この制度では、「従業員に対する不利益な取り扱いの防止」を強調しています。逆にいえば、この制度が労使間に微妙な影を落とすことになりかねないということにも受け取れます。これまで労使がうまくいっているだけに心配なのですが……。


 気がかりな点があるとすれば、それは「ストレスチェック後の医師面接」でしょう。これは、「事業者抜き」で行われます。ただ、忘れてならないことは、「ストレスチェック制度」では、面接指導の結果については事業者が医師から意見を聴取することになっているという事実です。

 面接結果は事業者側に伝わります。医師面接とは、従業員が事業者に内緒で医師に相談する場ではありません。むしろ、事業者と協力して、健康な働き方について医師に相談する機会であると理解していただくべきでしょう。

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井原裕

東北大学医学部卒。自治医科大学大学院博士課程修了。ケンブリッジ大学大学院博士号取得。順天堂大学医学部准教授を経て、08年より現職。専門は精神療法学、精神病理学、司法精神医学など。「生活習慣病としてのうつ病」「思春期の精神科面接ライブ こころの診療室から」「うつの8割に薬は無意味」など著書多数。