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【肥満症の減量手術】東邦大学医療センター佐倉病院・消化器外科

東邦大学医療センター佐倉病院の大城講師(提供写真)

「手術をすると元の肥満体重の20~30%はやせます。しかし、減量手術は単に体重を減らすことを目的にしているのではありません。合併症の改善を含め、活動性のある生活を取り戻すのが目的です。現在、世界的には糖尿病を改善させることを第1目的としたメタボリックサージェリー(手術)という概念でも手術が行われています。手術をすることで、心筋梗塞や脳卒中など肥満関連の合併症による死亡率が9分の1に減るともいわれています」

 手術は腹腔鏡で行われ、腹部に数カ所の孔をあけて器具を挿入し、モニターを見ながら行う。術式は主に3種類あるが、国内で保険適用になっているのは胃をバナナ状に細く切除(胃の容量100ミリリットル)する「スリーブ状胃切除術」。手術時間は2時間半くらいで、入院は平均1週間。同院の患者の9割以上が希望する術式だ。

「この手術をすると食欲増進ホルモンの分泌が減り、インスリンの効きを高めるホルモンの分泌をよくするため、減量のみならず糖尿病の改善が見込めます。特に糖尿病になりたてで、BMIの高い人ほど効果が期待できます。海外からの報告によると、術後5年以上の改善率(糖尿病の血液検査数値が改善し、内服を減量・中止できる状態)は8割。ただし、再発率も4割弱あるので術後のフォローが重要です」

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