この女性の場合は、4カ月前の定期健康診断の採血では、貧血だとは言われていなかったようです。これは、おそらく採血の際のヘモグロビンの量が一定値を超えていたため、貧血とはみなされなかったのでしょう。
体の中の鉄については、通常の健診でチェックするヘモグロビンの値だけをみても、貧血の実態はつかめません。この点は、血糖値だけをみても糖尿病の実態をつかめないことと似ています。貧血の実態は、ヘモグロビンの値ではなく、体内に蓄えられた鉄の量をみなければなりません。現在の検査技術では、体内貯蔵鉄を最も反映しているのが血清フェリチン値というものです。
「血清フェリチン値がこの値だと貯蔵鉄はこれぐらい」といった目安があって、それにしたがって貯蔵鉄の減り具合を推定しているのです。
最近、医者たちの間でしばしば警告されているのは、「ヘモグロビン値だけで判断するな」ということです。ヘモグロビン値は正常値なのに、血清フェリチン値が異常低値にある人は珍しくありません。したがって、健診で貧血を指摘されていなくても、実は貧血という場合はあります。20~40代の女性でうつ病ではないかと思われる人の場合、その可能性を念頭に置く必要がありそうです。
薬に頼らないこころの健康法Q&A