しなやかな血管が命を守る

【アテローム血栓症】 早期発見には循環器ドックが有用

東邦大学佐倉病院の東丸貴信教授(C)日刊ゲンダイ

 動脈硬化という言葉はご存じでも、「アテローム血栓症」という重大な病気のことはそれほど認識されていません。これは、動脈硬化があるところに血栓が出来る疾患のことをいいます。

 アテロームとは、大動脈、手足の末梢動脈、脳動脈や冠動脈などの比較的太い動脈の内膜に出来るおかゆ状で脂肪性の沈着物のこと。コレステロール、カルシウム、線維性成分等からなり、「動脈硬化性プラーク」(粥状動脈硬化巣)とも呼ばれます。

 アテローム血栓症は、この動脈硬化性プラークの被膜が薄くなり、壊れて破裂したりして、そこに血栓ができる病態です。高血圧症、高脂血症、糖尿病、喫煙などのリスク因子があると、動脈硬化は数十年間かけて徐々に進行します。動脈は狭窄が進んで徐々に詰まる場合と軽い狭窄でも血栓が出来る場合があります。

 アテローム血栓症は世界でがんと並んで死因のトップを占め、日本でも、食生活の欧米化、運動不足、高齢化の進行とともに増加してきています。これまでは冠動脈疾患(CAD)、脳血管疾患(CVD)、末梢動脈疾患(PAD)などは別々の病気ととらえられてきました。しかし、最近は超音波や画像検査などの進歩で動脈硬化は全身の血管に進行していることがわかり、「全身性動脈硬化性疾患」(Polyvascular Disease)という概念が導入されました。

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東丸貴信

東京大学医学部卒。日赤医療センター循環器科部長などを歴任。血管内治療学会理事、心臓血管内視鏡学会理事、成人病学会理事、脈管学会評議員、世界心臓病会議部会長。