しなやかな血管が命を守る

【アテローム血栓症】 早期発見には循環器ドックが有用

東邦大学佐倉病院の東丸貴信教授(C)日刊ゲンダイ

 動脈硬化のリスクやそれによる疾患がある7万人の患者を対象にした大規模研究(Reach Registry)では、CADの10・6%にPAD、25%に全身血管病、PADの51・6%にCADが合併していることが報告されています。その後の報告でも、ほぼ同様の比率で多くの動脈硬化性疾患患者が複数のアテローム血栓症を持っていることが確認されています。

 また、CADに対する予備的なカテーテル手術の検討においても、28%に下肢動脈、頚動脈、腎動脈、腹部大動脈に動脈硬化性疾患を合併していました。

 全身性動脈硬化性疾患において、CVDのみが発症した場合、1年後の心血管イベント(脳卒中、心筋梗塞など)発生率は9.87%で、CADのみは13.4%でした。しかし、CADが合併すると19.8%、PADが合併すると21.95%、3つが合わさると何と26.29%の発症率となりました。

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東丸貴信

東丸貴信

東京大学医学部卒。東邦大学医療センター佐倉病院臨床生理・循環器センター教授、日赤医療センター循環器科部長などを歴任。血管内治療学会理事、心臓血管内視鏡学会理事、成人病学会理事、脈管学会評議員、世界心臓病会議部会長。日本循環器学会認定専門医、日本内科学会認定・指導医、日本脈管学会専門医、心臓血管内視鏡学会専門医。