Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【大渕愛子さんのケース】子宮頸がんはワクチンと検診で撲滅できる

大渕愛子さん(C)日刊ゲンダイ

 欧米では広く普及していて、オーストラリアでの接種率は9割。HPVには複数のタイプがあって、ワクチンですべてをブロックできるわけではありませんが、それでも7割は予防できます。

 ワクチンと同様に子宮頚がん予防に効果的なのが、検診です。大規模な臨床研究により、子宮頚がんは「検診で死亡率が下がる」ことが証明されています。つまり、ワクチンと検診の二段構えで子宮頚がんは撲滅することができるのです。

 ワクチンには、副反応問題がありますが、ワクチン接種で子宮頚がんの発症が3分の1に減るというメリットの方が、副反応のデメリットより上回るといえます。“マザーキラー”と呼ばれるがんを防ぐには、ワクチンと検診が大切なのです。

3 / 3 ページ

中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。