どうなる! 日本の医療

「高度急性期病院」同士で熾烈な生存競争

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「1万5900床というと、もの凄い数だと思われるかもしれませんが、仮に1000床の高度急性期病院が16病院あれば足りる計算です。つまりそれ以外の病院は高度急性期病院の看板を取り上げられる可能性があるのです。そうなれば患者も集まらず、経営的にも苦しくなります」



 では、高度急性期病院として生き残るためには何が基準になるのか?

「ひとつは手術件数です。高度急性期病院は年間7000件以上の手術件数が必要になるのではないか」

 これを実現するには手術を希望する患者をより多く集めるか、必要以上に手術を手掛けるしかない。ところが、いまの患者の病院選択基準は10年前とまるで違うため、目標の手術数をクリアするのは難しいという。

「かつては雑誌などや噂で『あそこにはいい医者がいる』といえば患者が集まった。しかし、いまはネットで病院の手術件数、救急患者数、5年生存率などを入手し、データのいい病院を選択する。数字を誇れない病院の経営は厳しくなります」

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村吉健

村吉健

地方紙新聞社記者を経てフリーに転身。取材を通じて永田町・霞が関に厚い人脈を築く。当初は主に政治分野の取材が多かったが歴代厚労相取材などを経て、医療分野にも造詣を深める。医療では個々の病気治療法や病院取材も数多く執筆しているが、それ以上に今の現代日本の医療制度問題や医療システム内の問題点などにも鋭く切り込む。現在、夕刊紙、週刊誌、月刊誌などで活躍中。