薬に頼らないこころの健康法Q&A

「多動性障害」の人生は16ビート

井原裕 独協医科大学越谷病院こころの診療科教授(提供写真)
「押さえつける」より「運動」で深い眠りを得ることが大切

【Q】
 小5男子の母親です。幼少期から落ち着きがありませんでしたが、薬を飲むほどではないと思っていました。以前、北海道に住んでいたので、少年アイスホッケーのチームに入れていました。週3回、放課後に通っていました。4年生のときに父親の転勤で東京に転居し、アイスホッケーはやめました。現在は、中学受験に備えて、週3回、塾に通わせています。新しい学校では、なじめない上に落ち着きがなく、学校でも塾でも叱られてばかりです。学校の先生の勧めで、近くの児童精神科のクリニックを受診しました。予想通り「多動性障害」と診断され、「コンサータ」(徐放性メチルフェニデート)という薬を処方されましたが、1回飲んだだけでやめてしまいました。学校の先生は、「病院に通わせて、治療を続けなさい」とおっしゃいますが、親としては戸惑っています。

【A】
 通院も服薬も強制はすべきでないと思います。精神科クリニックは「強制治療」を行う場ではありません。

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井原裕

井原裕

東北大学医学部卒。自治医科大学大学院博士課程修了。ケンブリッジ大学大学院博士号取得。順天堂大学医学部准教授を経て、08年より現職。専門は精神療法学、精神病理学、司法精神医学など。「生活習慣病としてのうつ病」「思春期の精神科面接ライブ こころの診療室から」「うつの8割に薬は無意味」など著書多数。