薬に頼らないこころの健康法Q&A

成績はいいが、高度な装置を扱えない高専生徒への教え方

井原裕 独協医科大学越谷病院こころの診療科教授(C)日刊ゲンダイ
学習の基本は、見よう見まねで学ぶこと


 工業高等専門学校の教師をしております。3年生の男子生徒についてお尋ねします。中学の頃、「広汎性発達障害」と診断されていたそうです。ただ、成績は非常によく、高校化学グランプリに学校を代表して出場したこともありました。それが4年生になって物質化学の実験が始まるようになると、不器用さが一気に露呈してしまいました。私どもの科には、走査型電子顕微鏡、電気化学測定装置などの高度な備品もあって、この生徒も当然使わなければなりません。しかし、電子顕微鏡などは誰にとっても使い方が難しく、この不器用な生徒の場合、見ていてハラハラすることも少なくありません。卒業研究もあって、多様な装置の使い方には習熟してもらわないといけないのですが、説明しても理解してくれません。


 この生徒さんの場合、実験は手技的には下手だが、試験の点数は素晴らしい。となると、知識量は十分にあり、仮説を立てて計画を作り、検証するといった“実験の知的プロセス”には十分に対応できます。あとは、技術的なことに習熟できさえすれば、いい実験をする可能性があります。

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井原裕

東北大学医学部卒。自治医科大学大学院博士課程修了。ケンブリッジ大学大学院博士号取得。順天堂大学医学部准教授を経て、08年より現職。専門は精神療法学、精神病理学、司法精神医学など。「生活習慣病としてのうつ病」「思春期の精神科面接ライブ こころの診療室から」「うつの8割に薬は無意味」など著書多数。