精神科医の立場から推測するに、この生徒さんの場合、「宣言的記憶」を「手続き記憶」に変換することが苦手なのではないでしょうか。どういうことか説明しましょう。
人の記憶には、宣言的記憶と手続き記憶があります。頭で理解するのが前者、体で理解するのが後者だと大ざっぱに考えてください。
学校の授業でいえば、理科・社会の授業で習う知識は前者、技術・家庭科で習得するものづくり、音楽の授業で習う楽器の演奏などは後者に相当します。
すべての人がこれら2つの種類の知識を持っているわけですが、両者の知識を相互に変換することは、人によっては難しいものがあります。言葉で説明して理解することと、実際の行動で表現することとは別です。自転車の乗り方を説明できても、自転車に乗れるとは限りません。自転車に乗れる人でも、乗り方を言葉で説明できるとは限らないのです。
薬に頼らないこころの健康法Q&A