治療が遅れて動脈硬化が進むと、不可逆的状態といって健康な状態には戻れない。悪玉コレステロールが高い脂質異常症は、早期治療が非常に重要なのだ。
■「低コレストロールはがんになりやすい」は否定的
薬物治療否定の理由としてよく言われるのが、「コレステロールが低いとがんになりやすい。高い方が長生きする」といった説だ。
「このコレステロールは悪玉コレステロールを指しているのでしょうが、これらの説は今は否定されています。栄養状態が悪いためにコレステロールが低くなり、結果的に寿命が短くなった例などを含んでいるのだろうとみられているのです」
むしろ昨年発表された最新報告は、悪玉コレステロールの変動が冠動脈疾患のリスクを高めるという内容だった。悪玉コレステロールは年末年始の暴飲暴食などで高くなりやすく、また夏場は低くなりやすい。この変動を放置すると、そのこと自体が脳卒中や心筋梗塞を起こしやすくするという。