どうなる! 日本の医療

米国で話題の「臓器別診療」の否定 日本で広がるのか?

(C)日刊ゲンダイ

 日本でもこうした医療は行えるのか? 外科医でNPO法人医療制度研究会副理事長の本田宏医師が言う。

「すぐには無理でしょう。『クリーブランド・クリニック』は世界トップクラスの医療機関で、4万2000人のスタッフが働いていて、医師も看護師も十分な数がそろっています。だからこそひとりの患者さんの治療に複数のスタッフが携わる、本格的なチーム医療が日常診療のなかでもできるのです。しかし、日本ではそもそも医師の数が足りていません」

■新たな医療格差の始まり

 本田医師が再三指摘してきたことだが、日本の医師の数は先進国のなかで格段に少ない。2012年統計で日本の医師は28万8850人。人口1000人あたりの医師数に換算すると2.3人だ。これはOECD加盟34カ国の中で下から6番目。トップのギリシャの6.2人の半分にも満たない。それでいて、日本は世界有数の超高齢社会が進行しているのだ。

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村吉健

村吉健

地方紙新聞社記者を経てフリーに転身。取材を通じて永田町・霞が関に厚い人脈を築く。当初は主に政治分野の取材が多かったが歴代厚労相取材などを経て、医療分野にも造詣を深める。医療では個々の病気治療法や病院取材も数多く執筆しているが、それ以上に今の現代日本の医療制度問題や医療システム内の問題点などにも鋭く切り込む。現在、夕刊紙、週刊誌、月刊誌などで活躍中。