日本人論文で注目 糖尿病薬で「前立腺がん」抑え込めるか

インスリンとインクレチン関連薬(C)日刊ゲンダイ

 糖尿病が怖いのは血糖値が高くなることではない。それを引き起こす生活習慣や体形が合併症を発症させることだ。とくに怖いのはがん。2013年の日本糖尿病学会の調査報告によると、糖尿病患者はそうでない人に比べて約1.2倍のがん発症リスクがあるという。いったん発症すれば増殖に歯止めがかからないがんだが、「種類によっては糖尿病の注射薬で抑え込めるかもしれない」との日本人の研究論文が注目されているという。

「現在、糖尿病の薬で抗腫瘍効果があるとされているのがメトホルミンです。世界中の研究機関の大規模臨床試験等で確認され、そのメカニズムの解明も進んでいます。それに続く薬として注目されているのが『GLP-1受容体作動薬』です。血糖を下げる注射薬ですが、前立腺がんの進行を食い止めるのに役立つ可能性があるとの論文が一昨年、世界的糖尿病雑誌『Diabetes』に掲載されたのです」

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