天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

ゆとり世代 高齢者とは異なるリスクを抱える

順天堂大学の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 心臓病は65歳以上の高齢者に多い病気です。しかし、20~30代のいわゆる「ゆとり世代」といわれる若い世代でも、心筋梗塞や致死性の不整脈で命を落とすケースは少なくありません。突然死まではいかなくても、心臓病を発症することはまれではなく、決して「若いから大丈夫」とはいえないのです。

 高齢の患者さんと、ゆとり世代に代表される若い患者さんでは、いくつか違いを感じます。まず、若い世代の患者さんは「自己管理」ができない人が多い印象です。モノがあふれている中で育っているためか、自分に対しての厳しさが感じられません。

 いまの70代以上の人は、夜10時を過ぎたら主食は食べないという方が多くいます。しかし、20~30代の人は24時間営業のフードサービスが当たり前だという環境で育ってきているので、深夜でもがっちり食事をするのが当然と考えている人がほとんどです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。