天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

ゆとり世代 高齢者とは異なるリスクを抱える

順天堂大学の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

「24時間いつでも食事を提供してくれるお店があるのは、いまの時代だから」という考え方をしている高齢の世代と比べると、食環境がまったく異なっているといえます。

 また、情報通信の発展によって、若い世代は睡眠と覚醒の調和がバラバラになっています。夜中にテレビや映画を見たり、音楽を聴いたりするのが日常になっているからです。一方、70代以上の世代は「夜はしっかり眠るもの」という感覚があります。睡眠環境も大きく違っているのです。

 そうした世代間の“違い”は、心臓にも大きく影響します。手術を受けて退院した後の回復具合については、そこまで大きく変わりません。しかし、深夜に好きなだけ食べたり、いつまでも寝ないであれこれ行動していると、手術によっていったん改善した機能が、再び問題を起こすリスクが高くなります。厳しく自己管理ができる世代とできない世代では、再発のリスクが大きく変わってくるのです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。