病気に潜む「脳の異常」

「過敏性腸症候群」は脳のストレスが引き起こす

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 検査しても原因がわからず、頻繁に下痢や便秘、腹痛に悩まされる「過敏性腸症候群」。

「鳥居内科クリニック」(東京・世田谷)の鳥居明院長が、医薬品メーカーの社員2000人を対象にしたアンケート調査では、約15%が「過敏性腸症候群」と認められたという。

 実はこの病気、関係するのは腸だけではない。

「発症の引き金となるのはストレスです。脳がストレスを感じると、自律神経のバランスが崩れるとともに、脳からストレスホルモンが分泌され、それが腸に影響します」(鳥居院長)

 その結果、腸の動きを過剰にしてけいれんを起こしたり、腸の感覚を過敏にしてしまう。

 こうした脳と腸の関わりを「脳腸相関」という。脳の不調がお腹を壊す原因になるばかりでなく、腸の不調が脳を混乱させることもある。例えば、腸に病原菌が感染すると脳で不安感が増すことがわかっている。近年では腸内の常在細菌が脳機能に影響を及ぼすことも報告されている。

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