数字が語る医療の真実

大橋巨泉さんの死因はモルヒネ系鎮痛剤の誤投与なのか?

最後まで戦い続けた大橋巨泉さん(C)日刊ゲンダイ

 タレントの大橋巨泉さんが亡くなりました。最期の最期まで世の中に発信し続け、戦い続けたことは見事というほかありません。

 ただ、その時の夫人のコメントが、緩和医療の現場を揺るがしています。

「先生からは『死因は“急性呼吸不全”ですが、その原因には、最後に受けたモルヒネ系の鎮痛剤の過剰投与による影響も大きい』とうかがいました。もし、ひとつ愚痴をお許しいただければ、最後の在宅介護の痛み止めの誤投与がなければ、と許せない気持ちです」というコメントがネット上で流れています。

 こうした発言の影響力は大きく、日々、在宅医療の現場で多くのモルヒネ系鎮痛剤を使っている身としては、ひとこと言っておかないと、という感じです。

 モルヒネの副作用として、「呼吸が抑制される」というものがあります。その呼吸抑制が死因のひとつというのはあり得る話です。痛みのコントロールが十分でないために投与量が多くなったり、あるいは痛みがひどく短時間で薬の量を増やす場合など、呼吸抑制を経験することはしばしばあるからです。

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名郷直樹

「CMECジャーナルクラブ」編集長。東大薬学部非常勤講師。東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員、臨床研究適正評価教育機構理事)自治医科大卒。名古屋第二赤十字病院にて研修後、作手村国民健康保険診療所にてへき地診療所医療に携わる。95年同診療所所長。05年東京北社会保険病院臨床研修センター長。「『健康第一』は間違っている」などの著書がある。