夏バテ胃腸は秋口に立て直せ

感染症が治っても不調を引きずる

(C)日刊ゲンダイ

 これまでお話ししてきたように、夏は冷房の影響、冷たい物の取り過ぎ、夏特有のストレスなどが原因で、自律神経のバランスを崩しやすくなります。これが「夏バテ胃腸」を招きます。

 そうなると免疫力も低下するため、さまざまな感染症にかかりやすくなります。しかも、日本特有の高温多湿な夏は、腸管の感染症、特に「細菌性腸炎」が起こりやすい環境といえます。

 細菌性腸炎は、O-157、サルモネラ、カンピロバクター、ブドウ球菌といった細菌に感染することで発症し、腹痛、下痢、嘔吐、発熱などの症状が表れます。

 また、免疫力の低下により、ノロウイルスやロタウイルスなどの「ウイルス性腸炎」にもかかりやすくなってしまいます。こちらも、下痢、嘔吐、発熱といった症状が表れます。

 これらの感染症は、適切な治療を受ければ通常1週間程度で細菌もウイルスも胃腸から消えるため、完治すると考えられてきました。しかし、実際にはそうではないことも分かってきています。

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江田証

江田証

1971年、栃木県生まれ。自治医科大学大学院医学研究科卒。日本消化器病学会奨励賞受賞。日本消化器内視鏡学会専門医。日本ヘリコバクター学会認定ピロリ菌感染認定医。ピロリ菌感染胃粘膜において、胃がん発生に重要な役割を果たしているCDX2遺伝子が発現していることを世界で初めて米国消化器病学会で発表した。著書多数。